『ちいさいおうち』
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『ちいさいおうち』
バージニア・リー・バートン/作・絵
石井 桃子/訳
(岩波書店)
バートンの絵本は
本のつくりがとても美しい。
物語のみならず、
本のサイズやつくりが大好きだった小さな私が
図書館で眺めていた本のひとつだった。
もっとも、
幼いころはそんな難しいことを
具体的に考えていたわけではなく
「小さくてかわいい」
「絵が好き」
なんて思いを持っていただけなのだけど。
.
大人になってからまた出会った、
かつてただ「素敵な絵本」と思っていたこの絵本は
せかせか生きる私の足を止め
そっと抱きしめてくれた気がした。
.
ちいさいおうちは、
太陽や月、星を眺め、風を感じ、
木々や草花を愛でながら、静かに生きていた。
しかし時が流れ、
その景色はにぎやかな町に変わってしまう。
まるでそれは、
泥だらけの靴で
自然の中を走り回っていた小さな私が
ハイヒールを履いて、
都会を歩いている姿みたいで。
.
成長するにつれて、
地面から遠くなった私の五感。
土の匂いや
蜜が出る花、
音の出る雑草のことなんて忘れてしまう。
大人になって、
得たものはたくさんあるのかもしれない。
だけど、
何かを得るために、失ってしまうものもあるんだね。
.
目や耳で感じ、肌で触れる、巡る季節の尊さ。
あの日見た景色のかけがえのなさ。
そして、
私が本当に大切にしていたものは何なのか。
.
失ってしまった「何か」がなんなのか
もうわからない。
だけど「それ」をどこか遠い記憶から
呼び起こしてくれる、そんな気がする。
⚘当店の絵本は古本の美~良品です。
⚘ご入金確認後、3営業日以内に発送いたします。
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